https://www.tokyo-np.co.jp/article/284872
国土交通省海事局が、2018年10月末までの4年余り、所管の外郭団体を経由し、法律で人事交流が認められていない日本財団(東京)に職員を出向させていたことが分かった。
財団は出向を受け入れていた間、海事局から総額5億円余りの事業7件を独占的に受注していた。
競艇事業を主な収入源とする日本財団。その競艇の監督官庁に当たるのが海事局だ。脱法的な二重出向から浮かび上がるのは、両者のもたれ合いの関係だった。(中沢誠、宇佐見昭彦)

取材のきっかけは、国交省海事局から所管の外郭団体に出向した職員が外郭団体には自席がなく、日本財団の肩書きで財団のオフィスで働いているという話を耳にしたことだった。
確認しようと、本紙は国交省や外郭団体に人事異動に関する情報公開請求を行った。
2カ月後に開示された文書には、噂話を裏付けるような記載があった。海事局のある職員の場合、人事異動の記録を突き合わせてみると、いったん外郭団体の「海上・港湾・航空技術研究所」(東京)に出向。同じ日、外郭団体から日本財団に再出向していた。
こうした二重出向は2014年10月から始まっており、海事局の中堅クラスと若手の2人ペアになって、2年前後で出向者が入れ替わっていた。
出向期間が終われば、いずれも外郭団体を経由して、再び国交省職員に復帰していた。復帰先もほとんどが海事局で、中には後に競艇事業を監督するモーターボート競走監督室長に就いた出向者もいた。