─ 芸能のお仕事から離れて、別の仕事をしたと伺っています。
福田さん:もともと、いろんな仕事を経験してみたいという気持ちがありました。芸能の仕事はスケジュールが不安定なので、どこかに雇ってもらって他で働くというのは難しかったのですが、いつか他の仕事もしてみたいという気持ちがずっとありました。

■仕事を掛け持ちして働く日々 ── 最初に、長野県の白馬村に行かれたそうですね。
福田さん:白馬村は、冬場のハイシーズンには海外からのお客さんが多くて仕事もたくさんあると聞いたことがあったんです。お客さんも外国の方からなら気づかれることも少ないかなと思って、最初は知人の紹介で、ホテルのレストランで朝食と夕食時のウェイターとして働きました。 それに加えて、街を歩いていたときに見つけた「アルバイト募集」と書かれていた、とんかつ店にも電話しました。ちょうどホテルの仕事と掛け持ちできそうな勤務時間だったんです。「今どこにいる?」、「お店の近くにいます」とやりとりして、すぐにお店に伺って、話をして、仕事ゲット(笑)。仕事を掛け持ちして働いていました。

── 違う場所で生活しながら他の仕事を経験してみていかがでしたか。
福田さん:白馬村は特殊なところで、ハイシーズンには日本各地や海外から働きに来る方が多いので、すごくオープンな雰囲気なんです。いわゆる田舎の閉鎖的な感じはまったくないのですが、住んでいる住民の方は少ないので私も人の顔を覚えました。雪道を歩いていたら、車で通りかかった知り合いが「乗ってく?」と声をかけてくれることもありましたね。人の温かさには救われました。 どんな仕事でもそうだと思うんですけど、仕事はやってみないとわからないことってたくさんあると思うんです。白馬村で働いた4か月間は毎日がすごく新鮮で、楽しくて。 外国のお客さんが多いので当たり前のように英語を使う環境だったのですが、私は英語も話せないし、ウェイターとしての仕事もあまりできないところからスタートしました。でも逆に、何か少しでもできるようになるとすごく褒めてもらえたんです。
「私、他の仕事もできるんだ!」という自信にも繋がりました。 どんな仕事も、少し年数を重ねると大変になってくると思います。芸能の仕事も、小さい頃は許されていたことってあったなと思うんです。流石にもう、「新人なんで」という言い訳はできないですしね。 でも新しい職場では相手もそこまで私に期待していないので、ちょっとできるようになると相手も喜んでくれるし、私も嬉しい。キャリアを重ねた芸能の仕事ではもう味わえない感覚だなと思いました。

── 悩みもだんだんとなくなっていったそうですね。
福田さん:子どもの頃から肌が荒れやすくて、食べるものに気を使う生活を長く続けてきました。肌のコンプレックスがずっとあったんですけど、白馬村で働いている仲間同士で年齢の話になったときに私が当時28歳だというとすごく驚かれました。日本人って若く見えるようですね。 海外のお客さんから「お肌が綺麗ね」とか、「パーフェクトスキン!」と言われることもありました。正直、日本人の感覚からすると綺麗と言えるほどではないと思うんです。何がオシャレとか、何が美しいかは国によって感覚が違うという話は聞いたことがありましたけど、これまでずっと悩んでいた私の肌も「あれっ、こんなものなの?」って。 価値観は本当に人それぞれ。そう思ったら、「なーんだ」って。自分の悩んでいたことがちっぽけに思えました。素直に嬉しかったですし、自然と気にしなくなると肌の状態も良くなるんですよね。ずっと人に顔を見られるのが怖い、人の視線が怖いという気持ちがあったのですが、そういうネガティブな気持ちを持たずに今は人と話せるようになったのが嬉しいです。
芸能とはまったく違うお仕事を経験してみて、芸能の仕事の魅力もさらにわかるようになりました。ずっと同じことを続けていると、どうしても「こういうところがつらい」とか、「ここは嫌だな」と思ってしまうことがあったんですが、いったん離れてみると、どっちが良くてどっちが悪いとかじゃないなって思うんです。すべてに両方の側面があると思っていますし、物事をポジティブに捉えられるようになったと思います。

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