ラエル軍がガザ各地で空爆再開、109人死亡 休戦終了
12/1(金) 20:19

一時休戦が終了し、イスラエル軍の攻撃を受けてパレスチナ自治区ガザ地区から立ち上る煙=2023年12月1日、ロイター
 イスラエル軍は1日午前(日本時間同午後)、パレスチナ自治区ガザ地区でイスラム組織ハマスとの戦闘が再開したと発表した。11月24日から続いていた一時休戦は7日間で打ち切りとなった。同軍は声明で「ハマスが休戦を破り、(ガザから)イスラエル領に向けて砲撃した」と批判し、ガザ各地で空爆を再開。ロイター通信によると、ガザの保健当局はこの空爆で109人が死亡したと発表した。

【写真】イスラエル兵、表情が緩み…一時休戦が始まった現地の様子

 休戦はカタールや米国などの仲介により当初4日間の日程で始まり、さらに2回延長された。この間、ハマスがイスラエルから拉致した人質計105人を順次解放し、イスラエルも拘束していたパレスチナ人計240人を釈放した。

 現地時間の1日午前7時までの休戦期限を控え、イスラエルとハマスの双方が3回目の延長を目指して直前まで交渉を続けていたが、決裂した。イスラエルはハマスが期限前にロケット弾を発射してきたと主張。ハマスはイスラエルが追加の人質解放の提案を受け入れなかったと批判している。

 中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」によると、戦闘再開後のイスラエルは、ガザ北部のジャバリア難民キャンプや南部のエジプトとの境の都市ラファなど広範囲にわたって空爆した。イスラエル首相府は声明で、攻撃を通じて「人質を解放し、ハマスを壊滅させる」と述べた。

 10月7日の戦闘開始以降、ガザ地区では水や食料、医療品などの物資が大幅に不足している。休戦期間中はイスラエル側が援助物資や燃料のガザへの搬入制限を緩和する措置を取り、人道状況はわずかながら改善した。ただ戦闘再開に伴って搬入を停止した模様で、状況は逆戻りする恐れがある。

 イスラエル軍は10月下旬から始めた地上侵攻により、ガザ北部を既にほぼ制圧している。今後は南部に矛先を向けてハマスの壊滅を目指す方針も表明。この地域には北部からの避難民を含めて多くの市民が暮らしており、戦闘の巻き添えになる懸念が出ている。衝突が始まって以来、双方の死者はガザ側が1万5000人超、イスラエル側が約1200人。

 ブリンケン米国務長官は11月30日、イスラエルを訪問してネタニヤフ首相と会談し、戦闘を再開するような場合は「ガザ北部であったような多数の民間人の犠牲が出るような攻撃をガザ南部で繰り返さないことが米国にとっても重要だ」と述べ、イスラエルに人道的配慮を求めていた。【ロンドン篠田航一、ワシントン鈴木一生】
https://news.yahoo.co.jp/articles/39d3f1379bd7bb800aae0edd18d043b58f4b3180