>>1 「大学進学率が少子化の原因」と言うが、世界各国の出生率と進学率の相関をみれば、
中等教育では強い負の相関がみられるが、高等教育では強い相関は見られない
日本で最初にコーホート合計特殊出生率が2未満となった世代は1940(昭和15)年生まれだが、
この世代が15歳だった時の高校進学率は51%でユニバーサル段階に入り、大学・短大進学率は10%である
警戒ラインとも言われる1.8未満となった世代は1962(昭和37)年生まれだが、高校進学率は94%、大学・短大進学率は37%
そして、高度警戒ラインとも言われる1.5未満となった世代は1967(昭和42)年生まれで、高校進学率は94%、大学・短大進学率は35%である
2023(令和5)年の大学・短大進学率は61%だが、大学・短大進学率が35%→61%になったからといって、コーホート出生率が急低下した事実はない
(なお、1967年生まれが18歳だった時の大学・短大進学率は女子に限定しても34%である)
コーホート出生率は、1967年生まれも1967年生まれより後の世代であっても(少なくとも1983(昭和58)-1987(昭和62)年生まれまで)、1.45程度で安定している
中等教育進学率が低い国では「抑圧からの解放」「社会のリベラル化」が十分に進んでいないために出生率と進学率の間に強い負の相関が生まれるが、
中等教育進学が当然の国家では既に「抑圧からの解放」「社会のリベラル化」が完成しており、高等教育進学率が上昇したからといって出生率に強い負の相関をもたらさない
1990年前後に大学受験戦争が過熱化した理由も、多くの中学生が普通科高校に進学し、卒業後は高等教育機関へ進学するという価値・規範が既に完成されていたからである
仮に大学入学定員を必要以上に減らすと1990年前後のように受験戦争が過熱化し、かえって教育費が増大する懸念が生じる
出国の自由があるならば、少子化で留学生の誘致に血眼になっている韓国や台湾が喜んで日本人留学生を受け入れるなど、若者の海外流出も発生しかねない
出生率と進学率の相関を指摘する人間は、日本を「小学校卒が当たり前の国家」にでも戻すつもりだろうか