不正輸出めぐるえん罪事件 捜査は違法 国と都に賠償命じる判決
2023年12月27日 14時05分

不正輸出の疑いで逮捕されて1年間近く勾留されたあと、無実が明らかになった会社の社長などが国と東京都に5億円余りの賠償を求めた裁判で、東京地方裁判所は検察と警視庁の捜査の違法性を認め、国と東京都に賠償を命じる判決を言い渡しました。

横浜市の化学機械メーカー「大川原化工機」の大川原正明社長など幹部3人は3年前、軍事転用が可能な機械を中国などに不正に輸出した疑いで逮捕、起訴されました。

しかしその後、輸出規制の対象にあたらない可能性があることがわかり、起訴が取り消され、無罪にあたるとして刑事補償の手続きが取られました。

幹部3人のうち1人は、勾留中に見つかったがんで亡くなりました。

▽社長や遺族などは「不当な捜査で苦痛を受け、会社も損害を被った」として国と東京都に5億円余りの賠償を求めて裁判を起こし、▽国や都は「違法な捜査はなかった」と反論しました。

裁判では捜査を担当した警視庁の現役の捜査員が「まあ、ねつ造ですね」と証言し、都がその証言について「具体的な根拠はない」と否定するなど、異例の展開をたどってきました。

27日の判決で東京地方裁判所の桃崎剛裁判長は、検察と警視庁の捜査の違法性を認め、国と東京都に賠償を命じました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231227/k10014301301000.html