【能登半島地震】がれきの中に妹の顔 救助できず 地震3日目の穴水 本紙記者ルポ
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「体に傷が付かないよう早く暖かい所へ連れていきたい」。
地震による土砂崩れで複数の住宅が倒壊した穴水町由比ケ丘で、
家族4人が家に取り残された中島俊博さん(38)が悲痛な声を上げた。(穴水支局長・中川弘孝)

 中島さんは60代の両親と妹(34)、妹の長男(13)の5人暮らし。
地震発生時、2階にいた中島さんは階段を下りられず、傾く家の2階の窓から外へ逃れた。
大量の土砂が流れ込んだ1階でほかの4人を探そうとしたが、
近所の住民に「無理や。早く逃げろ」と言われ、その場を離れるしかなかった。
 2日早朝から陸上自衛隊金沢駐屯地の隊員が捜索、見つかった父親とおいに意識はなかった。
家屋の残骸や土砂に阻まれ、それ以上、人力での救出は断念せざるを得なかった。

 3日朝、現場を訪れるとがれきの中に妹の顔が見えた。「呼ばれた気がします」。
そっと毛布を掛けた。小松市と能美市の消防隊が懸命に作業を進めたものの救出できなかった。
 2日には隣家の80代男性が救助された。

「死んだらほったらかしでいいのか」。
中島さんは目を真っ赤にして訴える。命が助かる見込みが大きい方が優先される。
それは十分理解できるが、やるせなさだけが残った。