1カ月の断酒が肝臓を救う 世界で広がる「ドライ・ジャニュアリー」

アルコールはさまざまな形でわれわれの体に影響を及ぼす。最も顕著に現れるのはアルコール分解の機能を担う肝臓だが、
心臓や消化管、膵臓(すいぞう)、脳といったほかの臓器に二次的な害が及ぶこともある。
どんな影響が起こるかは、アルコールが体内にとどまる時間と摂取量による。

「血中アルコール濃度は、臓器に害を与える主な要因です」と、米オーバーン大学の研究者で、
アルコールによる臓器損傷のメカニズムを専門とするポール・トームズ氏は言う。

肝臓は、アルコールを毒性の少ない形に分解し、体外に排出する。
この過程において、アルコールはまずアセトアルデヒドという、非常に毒性の高い発がん性物質に分解される。
アセトアルデヒドは通常は迅速に分解されるが、このプロセスが、血中アルコール濃度が高かったり
肝臓の代謝を阻害する薬物を摂取していたりなどの要因によって遅れたり中断されたりすると、全身に蓄積されて臓器の損傷を引き起こす可能性がある。

「毒性分子が細胞や組織に蓄積される期間によって、損傷の程度が決まります」とトームズ氏は説明する。

この損傷は全身に影響を及ぼし、高血圧や心臓病、肝臓病、特定のがんの発症リスクの増加など、
慢性的なアルコール摂取による長期的な健康リスクへとつながる。
免疫系を弱らせ、脳の正常な機能を損なう恐れもある。
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/23/122700658/