https://news.yahoo.co.jp/articles/4445550519bea5c76495d376e266f024b1b98c0f
視覚障害者の「読み書き」「移動」の不自由を解決へ!情報とテクノロジーで障害者の自立を支援する、自身も視覚に障害を抱えるアメディア代表の想い
文章を読んだり、映画を観たり、街中を移動したり…。私たちは普段、視覚を使って物事を行っている。これらは一見当たり前のことのように思えるが、目の見えない視覚障害者の方々にとっては困難なこと。特に、「読み書き」や「移動」に非常に苦労するという
このような、視覚障害者の抱える不自由を解決するためのプロダクトを企画・開発しているのが、株式会社アメディア(以下、アメディア)だ。この会社は情報とテクノロジーでの障害者の自立支援を掲げ、バリアフリーマップや音声読書器といった製品を展開している。
目の見える人にとってはわかりづらい、視覚障害者の生きる世界。実際にどのような不自由や課題があるのだろうか。そしてそれらを克服するためにどのような製品を生み出しているのだろうか。今回は、アメディアの代表取締役社長であり、自身も視覚障害者である望月優さんに話を聞いた。
■読み書きの不自由を解決すべく、会社を起業
最初に、望月さんの経歴について教えてください
私はもともと教師でして、1980年代に4年間ほど英語の教員をしていました。そのころに学校の会議資料がガリ版印刷からコンピューターのプリンターで印刷されるようになってきました。そこでふと思ったのが、「コンピューターのことを理解すれば、点字で文字を打ち出すことができるのでは?」ということでした。
そう思ったので教員を退職してコンピューターの勉強を始めました。方向転換したのは、コンピューターの技術が、視覚障害者の情報ハンディキャップを大幅に改善するものになるに違いない、と確信したからでした。その後、自分で製品を作るべくアメディアを立ち上げました。
一念発起して会社を作られたのはすごいですね。最初に作られた製品はどのようなものでしたか?
最初は他社の製品を一生懸命売っていました。視覚障害者のご自宅にパソコンとソフトをセットで販売しに行っていましたね。そして、1996年に自社開発の「ヨメール」という、印刷物をスキャナーで読み取って音声で読み上げるパソコンソフトを開発しました。これが後にお話する音声読書器の開発につながっています。
次に、貴社の事業内容について教えてください。
弊社の事業のひとつが、印刷物をカメラやスキャナーで撮って読み上げる音声読書器の企画・開発です。こちらについては基本的にソフトを自社開発していて、ハードについてはパーツを取り寄せて、プロダクトとして組み立てています。代表的な製品としては「よむべえスマイル」と「快速よむべえ」があります。
現在、視覚障害者の方々が抱える課題にはどのようなものがあるのでしょうか?
現在というかもともとではあるのですが、視覚障害者には2大不自由というものがあります。それが、読み書きの不自由と移動の不自由なんですね。弊社では書きについては事業をしていないのですが、読みについては先ほど話した「よむべえ」ブランドを展開しています。このような製品がなかった時代、私たち視覚障害者は文字を読むことができませんでした。
弊社では、1996年に最初の読み上げのプロダクトを発売したのですが、そのころはまだまだ間違いも多いという状態でした。また、目が見える人に向けた文章って、広告などであれば視覚的に一瞬で入ってくるレイアウトになっていることが多く、それを機械で読み上げると文章がバラバラになってしまったり、文章の上下関係がわかりにくかったりと、さまざまな問題がありました。
世の中の文章が読み上げに対応しているとはかぎりませんものね。
そうですね。ですが、技術の進歩のおかげで今まで以上に正確に文字を読めるようになってきています。特に、ここ数年のGoogleのクラウドプラットフォームにある認識エンジンが非常に優秀でして、どのような文章でも的確に読み上げてくれるようになりました。同時に翻訳の能力も上がっていて、翻訳と読み上げができるようになったのです。
そのような最新テクノロジーを弊社の製品に取り入れて、視覚障害者に便利な製品を作っているというのが読み上げの分野での現状ですね。弊社のような小さな会社ではイチから認識エンジンや音声合成エンジン、AIなどを開発するのは非常に手間も時間もかかります。だからこそ世の中でよくできているものを使わせていただき、視覚障害者の不便を少しでも減らすというのが弊社のしていることになりますね。
製品は個人の方が購入されることが多いですか?
そうですね、個人の方に購入していただくことが多いです