商業捕鯨の運転支える国のゼロゼロ融資

 日本の捕鯨事業が補助金に依存しているのは今に始まったことではない。1987年から国費による補助のもと調査捕鯨が開始され、2000年代には約10億円前後が国庫から支出されていた。

 IWCに加盟し商業捕鯨が実施できなかった当時は調査名目でクジラを南極海と北太平洋で捕獲、そこから得られる鯨肉の販売収益で事業を回転させていたのである。これが16年度からは国からの補助金に全面依存する事実上の国営捕鯨となり、補助金額も50億円へと5倍増し、現在でもこの予算規模が続いている。2021年度からそのうち10億円を捕鯨会社「共同船舶」へ貸し出すかたちとなったが、担保ゼロ、利息ゼロという破格の条件での融資である。

現在水産庁は捕鯨問題に関する検討会を立ち上げ、これまで数回会議が開催されているが、その場でもこの操業会社が「現金はほとんど持っていない」ため「運転資金が不足しており、回転式の基金10億円がなければやっていけない」とも指摘されている(水産庁「鯨類の持続的な利用の確保の在り方に関する検討会(第3回)議事要旨」、2023年、3頁)。借金の10億円は年度ごとに返済してまた貸し出すという形式ではなく、「貸しっぱなし」の状態となっている。

 水産庁によると、これは基金事業としての貸し出しで、事業終期の26年3月が一応の返済期限とはなっているが、事業が延長された場合は、この限りではないそうだ。

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