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なぜ一糸まとわぬ姿に…!? 暑苦しさが癖になるグルメアニメの“やりすぎ”な「美味しい!」表現

累計発行部数1000万部を超える大人気漫画である、九井諒子氏の『ダンジョン飯』。2024年1月からはアニメ版もスタートし、さらに話題を呼んでいる

 本作はダンジョンに潜むモンスターを調理し食するという個性的な設定なのだが、独創的な料理の数々や、キャラたちの「美味しい」表現も相まって、メチャクチャ食欲を刺激されるのだ。そこで今回はグルメ漫画・アニメのなかから、暑苦しいほどの「美味しい!」表現に注目して作品を紹介していきたい。

■元祖やりすぎグルメアニメ『ミスター味っ子』
 まずは、1986年から1989年に『週刊少年マガジン』(講談社)で連載された、寺沢大介氏の漫画『ミスター味っ子』だ。本作は、“ミスター味っ子”と呼ばれる天才料理少年・味吉陽一を主人公に、料理人たちが数々の名勝負を繰り広げていく。

 1987年からスタートしたアニメ版は『機動武闘伝Gガンダム』でも知られる今川泰宏氏が監督を務め、「美味しい!」の表現もより派手で過激になり、“元祖やりすぎグルメアニメ”と呼ばれるようになった。

 第1話「天才料理人・味吉陽一登場」は、亡き父の跡を継いで陽一が暖簾を守る“日之出食堂”に日本料理界の首領・“味皇”が現れ、日之出食堂の暖簾をかけた“味勝負”が繰り広げられるというエピソードだ。

 陽一が出した勝負の一品「特製日之出カツ丼」はレーザーのような眩しい光を放ち、味皇も一口食べた瞬間から劇画風のタッチに変わり、その旨さに感動していた。

 本作ではそのほか、目や口から光を出したり、頭が火山になり噴火したり、巨大化して建物をぶち破ったりと、従来のグルメアニメでは考えられないような派手な演出がされている。のちのグルメ漫画・アニメに大きな影響を与えた作品だといって良いだろう。

■丸々1話が「美味しい!」表現!? 『焼きたて!!ジャぱん』
 次に紹介するのは、2001年から2007年『週刊少年サンデー』(小学館)で連載された、橋口たかし氏の『焼きたて!!ジャぱん』だ。2004年にはアニメ化され、全69話が放送された。

『焼きたて!!ジャぱん』はその名の通り“パン”に特化したグルメ漫画で、“太陽の手”と呼ばれるパンの発酵に適した温かい手を持つ少年・東和馬が、日本独自のパン・“ジャぱん”を生み出そうと奮闘する物語だ。

 本作は、アフロヘアーにサングラスが特徴的なマッチョ体型の松代健や、チタニウム合金の仮面をつけたマイスター霧崎など登場キャラの個性も強く、「美味しい!」の表現も奇抜なものが多い。とくに、司会兼審査員を務めることの多かったパンエリート・黒柳亮のリアクションは、本作の目玉と言えるだろう。

 なかでも、アニメ第68話「これが私の進む道!? ロード・オブ・ザ・ビワ!」のエピソードは群を抜いていた。なんと丸々1話を使って、黒柳の「美味しい!」を見せるリアクション回となっているのだ。

 その前の第67話のタルト対決で試食中に同時にタルトを口に押し込まれた黒柳は、周りの観客を巻き込んで異世界へ……。そこでは“黒糖漬けビワの指輪”を消滅させる旅に出るという『ロード・オブ・ザ・リング』のパロディ展開が繰り広げられていく。……と、これだけ見ると“何のことやら?”なのだが、要は“黒糖漬けビワタルト”の美味しさを表現する回だったということだ。数あるやりすぎな「美味しい!」リアクションでも、丸々1話を使ったものは珍しいだろう
■なぜ一糸まとわぬ姿に…!? 『食戟のソーマ』
 最後は2012年から2019年『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された、原作・附田祐斗氏、作画・佐伯俊氏の『食戟のソーマ』を紹介する。2015年にテレビアニメ第1期が放送され、2020年の第5期『食戟のソーマ 豪ノ皿』で完結したグルメ作品だ。

 本作は、名門料理学校「遠月学園」を舞台に、料理人の少年・幸平創真の活躍と成長を描いたグルメ漫画だ。神の舌(ゴッドタン)とまで呼ばれる人並み外れた優れた味覚を持つ本作のヒロイン・薙切えりなを筆頭に、美味しさのあまりなぜか一糸まとわぬ姿になってしまうといったお色気要素が多いのも特徴だった。

 アニメ最終回「食戟のソーマ」では、世界的な料理コンクール“THE BLUE”の決勝で出された「地球上になかった一皿」というお題に対して、創真は“女王のためのエッグベネディクト丼”を作る