国軍によるクーデターから間もなく3年となるミャンマーで、昨秋から続く少数民族武装勢力との戦闘が全国に拡大し、国軍が劣勢に立たされている。国軍内部の不満が高まり、支持者がミンアウンフライン最高司令官を公の場で批判する異例の事態となっている。

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 「最高司令官は『テロリスト』と戦うには弱腰すぎる。彼に国は統治できない」。今月10日、最大都市ヤンゴン中心部で、僧侶が数百人の支持者に訴えた。

 2021年2月1日のクーデター後、国軍支配に抵抗する民主派の抗議集会は徹底的に弾圧された。だがこの日の集会は民主派ではなく、当局の認可を得たとみられる国軍支持者が開いたものだった。クーデターも支持してきた親軍派が、公の場でミンアウンフライン氏を批判するのは異例だ。

 批判の発端は、昨年10月に北東部シャン州で始まった少数民族武装勢力による国軍への一斉攻撃だ。国軍は武装勢力を「テロリスト」とみなして反撃を試みたが、多数の拠点を奪われるなど劣勢を強いられ、今月6日には中国国境に近い主要都市ラウカイを「ミャンマー民族民主同盟軍(MNDAA)」に奪われた。

 その直後、MNDAAの兵士がラウカイ周辺の仏塔をハンマーで傷つける様子を映した動画がSNSで拡散し、熱心な仏教徒が多い多数派のビルマ族の反感を買った。「国軍史上最大の降伏」と非難されるラウカイからの敗退と相まって、親軍派の怒りの矛先が国軍トップに向けられた。

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