イランが支援する武装グループがヨルダン北東部の駐留米軍基地を無人機で攻撃して米兵3人が死亡したのを受け、バイデン大統領にはイランと直接立ち向かうよう求める圧力が強まっている。

米国の立場に詳しい関係者1人が匿名を条件に話したところでは、攻撃により米兵が死亡したことで米国がこれまでに比べ強い対応を余儀なくされるのは明白だ。大統領がまさに回避したい考えを示していた地域的な紛争拡大につながるリスクがある。

可能性の一つは、米国が隠密作戦でイランを攻撃しても公表はせず、メッセージは同国側に明確に伝えるものだ。このほか、トランプ前大統領が2020年にイラン革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官殺害を命じたケースのように、同国当局者を直接標的とすることも考えられる。

どのような結果になるにせよ、バイデン大統領は政権発足以来、最も重要な判断の一つを迫られる。大統領としては攻撃を実行した武装グループを罰し、地域でのイランの行動を抑止したい考えだ。ただそうした場合、米国がイランの指導部と直接対決することになりかねない。

大統領はさらなる経済的混乱につながる可能性についても熟慮する必要がある。イエメンの親イラン武装組織フーシ派は紅海で商船を攻撃。世界の海運に混乱が広がるとともに、新たな経済的動揺を招くとの不安も生じている。

フーシ派が26日に燃料タンカーを攻撃したのに続き、米兵が攻撃で死亡した事態を受けて、ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油先物は一時1.6%上昇して昨年11月以来の高値を付けた。

米国家情報会議(NIC)の元高官で、現在はワシントンのシンクタンク「大西洋評議会」の中東プログラムでディレクターを務めるジョナサン・パニコフ氏はバイデン政権について、「今回のような出来事の再発を防ぐため、多少の抑止を立て直すのに十分なだけ強力に対応する一方で、紛争をエスカレートさせる対応はしないよう、非常に繊細に取り組まなければならないだろう」と話した。

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