発売即販売中止ゲーム『The Day Before』開発元スタッフは休みなしで数か月働き、“ミスの罰金”を払っていたとの報道。それでもやめられなかった理由
By Hideaki Fujiwara - 2024-02-03 09:24
『The Day Before』は、パンデミック後のアメリカ東海岸を舞台とするオープンワールドサバイバルMMOと標榜されていた。本作は2021年1月に発表されたのち、幾度も発売延期を重ねながらも2023年12月8日にPC(Steam)にて早期アクセス配信開始。サーバー問題や品質面などの課題を数多く抱えていた点や、「MMO」と掲げながらも実際のゲームプレイが脱出型PvPvEシューターとなっている点などに多くの不評が寄せられる結果となった。
そうした中で開発元のFNTASTICは12月12日にスタジオを閉鎖し『The Day Before』の開発を中止すると発表。あわせてSteamでの本作の販売も停止された。その後12月22日にスタジオの公式Xアカウントは販売元のMytonaがSteamとの協力のもと購入者全員への返金に取り組んでいると報告しつつ、「FNTASTICは正式に運営を終了した」と発表。ただ同日のポストは本稿執筆時点で削除されており、その後スタジオの運営継続を示唆する投稿がおこなわれてこれも削除されるなど、一貫性に欠ける動きがみられる
■劣悪な労働環境
このほかGame Twoの動画では関係者証言として、CEOであるGotovtsev氏ら兄弟の傍若無人さも伝えられている。たとえば両氏は従業員の解雇を「やる気を引き出す(motivating)」ための手段として利用していたといい、実際にやる気がないことを理由にスタッフを解雇し、さらに社内チャットでそのことが発表されていたという。
さらには仕事上のミスなどを理由にスタッフらに罰金を科していたこともあるという。動画では、2人のスタッフに対して音声収録が低品質だったことを理由とする罰金を給与から差し引くと伝える社内チャットを撮影したと見られる写真も紹介された。このほかGame Twoの元には「1年半にわたって土曜日に休んだことがなく、そのうち2か月間は休日なしで働いていた」「休憩も休みもなく、シャワーや食事のための休憩時間を懇願してとった」といった劣悪な労働環境を示す元スタッフらの証言も寄せられているという。
ではなぜスタッフらは過酷なFNTASTICにて働いていたのか。Game Twoの動画によると、未経験の若者がゲーム開発者としてキャリアを始めるためにそうした環境で耐えていた背景があるようだ。またFNTASTICではロシアやカザフスタン、アルメニアなど、ゲーム業界で働く機会の少ないCIS諸国の地方出身者が多くを占めていたという。またそうしたスタッフが辞めないための施策として、仕事に必要な機材を用意したうえで、その費用を給与で支払わせるといった取り決めも存在したという。退職すると借金を負う恐れがあったことも、スタッフらがFNTASTICで働き続けていた理由としてあるようだ。
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