米兵殺害に対するバイデンの弱腰すぎる「報復」攻撃の結果…第三次大戦の可能性は「むしろ高まっている」
(前略)
「戦争に備えなければ、平和は得られない」
バイデン政権はウクライナへの軍事支援でもエスカレーションとロシアとの核戦争に巻き込まれるのを恐れる余り、先手を打てず、ウクライナ軍の反攻を不発に終わらせてしまった。戦時体制に移行したプーチンは石油・天然ガスを戦争資金源として国内の武器弾薬の生産能力を拡大する一方でイランや北朝鮮と「ならず者国家の枢軸」を形成している。
米シンクタンク「大西洋評議会」サイトへの寄稿(1日付)でキルスティン・フォンテンローズ研究員は「敵のドローンが米兵を殺害したのは初めてだ。米陸軍や海兵隊の兵士が敵の空爆によって殺害されたのも1953年以来初めてのことだ。米国が純粋に軍事作戦を実施しても、イランに対する『抑止力の回復』にはつながらない」と懐疑的な見方を示している。
「テヘランは米国がイランと戦争する可能性はないと信じているが、それは少なくとも米国がそう言い続けているからだ。その信念が続く限り、テヘランは米国の決意の限界を試すために代理人を育成し続けるだろう。テヘランはバイデン政権が選挙の年にエスカレートの危険を冒すことを嫌っていると感じている」(フォンテンローズ研究員)
米スタンフォード大学フーバー研究所のニーアル・ファーガソン上級研究員は英大衆紙デーリー・メール(3日付電子版)に「バイデンがプーチンを恐れ、イランに宥和政策をとることで第三次大戦の可能性は低くなるどころか、高まっている。歴史の大きな教訓を理解するのに12カ月はかかるだろう。戦争に備えなければ、平和は得られない」と寄稿している。
■安全保障に不可欠な「保険料」を渋るとどうなるか
米誌タイムの「世界で最も影響力のある100人」に選ばれたこともある歴史家のファーガソン上級研究員は「英国は今、帝国の安全保障に不可欠な保険料を支払うのを渋ったことで非常に大きな代償を払っている! これまで帝国を失った主な原因は大方これだった」という1942年2月にアラン・ブルック英軍参謀本部総長が綴った日記の一節を引いている。
当時、難攻不落と言われたシンガポール要塞を旧日本軍はわずか1週間で攻略し、連合国軍の13万人以上が降伏した。ウィンストン・チャーチル英首相は「英国史上最悪の惨事であり、最大の降伏である」と臍を噛んだ。「私たちは現代において、それに匹敵する危機に直面する可能性があるのだろうか?」とファーガソン上級研究員は問いかける。
「ソ連崩壊から始まった比較的平和な戦間期は終わった。歴史上最も古い格言の一つは『平和を望むなら、戦争に備えよ』と説く。チャーチルは、第二次大戦は英国が軍備増強を急いでいれば起きなかったと考えていた。大西洋両岸の政治家は2020年代の地政学が想像以上に1930年代の地政学と共通点が多いという厳しい現実に目覚めつつある」
英国の国防費は国内総生産(GDP)比で1950年代は平均7.9%、60年代は同5.7%、70、80年代は同4.8%。しかし90年代には同3.1%、2000年代に同2.4%、15年に2.01%まで落ち込んだ。北大西洋条約機構(NATO)の30カ国中、ドイツ、フランス、イタリアなど19カ国はGDPの2%目標に達していない。
米国の限界が政治的にも、財政的にも、軍事的にも明らかになった今、「軽武装・経済重視」の日本やドイツを含めた米国の同盟国が国防費を出し惜しみすれば、暗黒の歴史が繰り返される深刻な危険性がある。
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