「よく笑い、踊っていた」。JR藤沢駅前にある60代のバー店主は、20年来の客だった男について、そう語る。

 小田急電鉄、江ノ島電鉄も乗り入れる同駅の1日平均乗降客数は、新型コロナウイルス流行前で40万人超。百貨店や飲食店が立ち並ぶ駅前に足を踏み入れれば、多くの人の目に触れることになる。

 男は大胆にも、そんな場所に足しげく通った。知人男性は、駅前の大型スーパーで買い物をする姿をたびたび目撃。音楽好きが集う駅周辺のバーなど少なくとも4軒では常連客として知られ、一晩で何軒も顔を出し、「はしご酒」を楽しむこともあった。

 長年住み込みで働いた工務店のわずか約200メートル先にある別の駅ホームには、古びた桐島容疑者の指名手配ポスターがある。ただ、男と結び付けて考えた人はいなかった。

 「今思えば反体制的な映画を好み、熱く語っていた」と振り返る60代の知人は、真面目に働く姿や笑顔はテロリストのイメージとあまりに懸け離れており、「誰も気付けない」という。45年来の知人男性も「いつも楽しそうで、逃げている感じはなかった」と語った。

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