ユダヤの苦難の歴史が生んだ言葉 「ジェノサイド」で批判される衝撃

イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザ地区への攻撃は、ジェノサイド(集団殺害)か――。南アフリカが国際司法裁判所(ICJ)に提訴したことが、イスラエル社会に衝撃を与えました。ジェノサイドという言葉は、ユダヤ人の苦難の歴史から生まれたからです。こうした批判をどう受け止めているのか。左派労働党の元国会議員で、自身もホロコースト(ユダヤ人大虐殺)を生きのびた「イスラエルのホロコースト生存者センター」の議長、コレット・アビタルさん(84)に聞きました。


 ――南アの訴えについて、どう考えますか。

 ジェノサイドとは、多くの異なる点があるのではないでしょうか。ジェノサイドと呼ぶのに最も重要な要件は「意図」です。

 イスラエル軍は、進軍する前に何日もかけて、ガザの住民に退避を促し、どこへ行くべきかも明確に伝えていた。これは間違いなく、パレスチナ人全体に対する殺意がなかったことの証しだと思います。

 ――病院や学校を空爆し、2万6千人を超える死者が出ています。

 イスラエル人として、そして他者を尊重する人間として、ガザで犠牲になった人の数は知っているし、彼らの苦しみから目を背けてはいないつもりです。私が言えるのは、罪のない民間人を巻き込んでしまったとしても、それは「故意に」ではないのです。

https://www.asahi.com/sp/articles/ASS1V61DYS1VUHBI001.html