「もしトラ」なら中国破綻 トランプ氏、全輸入品に60%以上の関税示唆 米中貿易戦争が再燃、日本に板挟みのリスク
米大統領選の共和党候補者指名争いでドナルド・トランプ前大統領(77)が独走状態となり、その言動に対する注目度が高まっている。民主党のジョー・バイデン大統領(81)との違いを強調するトランプ氏は、中国からの全輸入品に60%以上の関税を課すことを示唆した。「もしトラ(もしトランプ氏が大統領に返り咲いたら)」が実現した場合、中国の株価暴落や不動産不況など経済悪化に拍車がかかる恐れがあるという。米中貿易戦争が再燃すれば、日本も無関係ではいられない。
トランプ氏は4日、米FOXニュースのインタビューで、「対中60%関税」について問われ、「それ以上になるかもしれない」と答えた。米紙ワシントン・ポスト(電子版)が先月27日、顧問らと非公式に協議したと報じていたが、本人も認めた形だ。
トランプ陣営は大統領選の選挙公約で、米国に雇用と富を取り戻し、中間層を引き上げる好景気を実現、中国など他国への依存を解消する「トランプ相互貿易法」を掲げている。
陣営のサイトでは「われわれに対する関税を撤廃するか、われわれに数千億ドルを支払うか」「目には目を、関税には関税を、まったく同じ金額を請求する」としている。
前回の大統領在任中の2018年にトランプ氏は、知的財産権の侵害を理由に中国からの輸入品の一部に4度にわたる制裁関税を課すなど、習近平体制と対立した。
トランプ氏は関税により国庫への歳入が増えたという成果を強調するが、中国による報復関税を受けた国内産業に補助金を支出したことに国内では反発もあるという。
第一生命経済研究所の西濱徹主席エコノミストは「トランプ氏は、中国が競争力を持つ太陽電池や風力発電設備、半導体汎用品などに関税をかけようとする可能性がある。その場合、中国もこれらの製品に加え、レアアースやレアメタルのほか、半導体原料のシリコンなどに輸出規制を掛けるなどの報復に出てくると考えられる」と語る。
米国政治に詳しい早稲田大学公共政策研究所招聘研究員の渡瀬裕哉氏は「トランプ氏が当選した場合、各国と交渉した1期目とは異なり、中国中心の交渉になるだろう。バイデン政権は欧州と協調して中国を真綿で首を絞める形だったが、トランプ氏は東アジア地域に軸を置き、より強硬姿勢で対中交渉を行うだろう。その際に日本や韓国、台湾などを利用する可能性もある」とみる。
https://news.yahoo.co.jp/articles/40b5dc0458e8e077321965d022c2691b6342f92b