日本航空機が昨年11月、米シアトルの空港に着陸後、管制官の指示を取り違え、滑走路に誤進入したことがわかった。
滑走路に別の航空機はおらず、空港の運用に影響は生じなかったが、国土交通省は航空法の定める「安全上の支障を及ぼす事態」にあたるとして、再発防止を徹底するよう日航を指導した。

 複数の関係者によると、成田発シアトル行きの日航68便(ボーイング767—346型)は昨年11月5日午前9時40分頃(現地時間)、シアトル・タコマ空港の平行に並んだ滑走路3本のうち、駐機場から最も離れた滑走路「16R(ライト)」に着陸した。

 管制官からは「(隣の)滑走路『16C(センター)』手前で待機せよ」と指示を受けたが、68便は指示を取り違え、「滑走路『16L(レフト)』手前で待機します」と復唱した。
16Cの横断許可を得ていないのに、16Cに進入して横断し、16L手前へ走行。そのまま駐機場まで進み、乗客を降ろした。

 機長と副機長は指示を取り違えた上、「滑走路16L手前への地上走行」の指示に、「滑走路16Cの横断」の許可が含まれると誤解したという。
当時、16Cには離着陸機はなく、68便も目視で安全を確認した上で進入・横断した。機長らは管制塔から指摘を受け、誤進入に気付いた。

 日航によると、68便が「滑走路16L手前で待機します」と復唱した際、管制官は誤りを指摘しなかった。

 日航は航空法などに基づき、国交省に報告。
パイロットらの再教育や事案の周知徹底を図るとともに、今回の要因を分析するよう国交省からの指導を受け、訓練内容の見直しなどの再発防止策をまとめた。
日航は「社内の関係部署で事例を共有し、再発防止を図った」としている。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20240208-OYT1T50220/