古代エジプト人は、野菜は生では食べなかった│キリンビール大学│キリン
https://www.kirin.co.jp/alcohol/beer/daigaku/HST/hst/no94/
農業国のエジプトでは庶民の食生活はパンと野菜が中心。当時、野菜は煮て食べるのが一般的だったが、その理由はというと…。
食材でいうと、エジプトは農業国ですから、庶民はパンと野菜中心の食生活です。
ただし野菜は生では食べない。野菜を生で食べるようになったのはギリシャ時代からです。
というのも、野菜って、じつは毒を持っているんです。植物ですから動けませんので、そういう成分を含んでいないと、草食動物に食べ尽くされて絶滅してしまう。したがって種として生き残っていくために、自然のしくみとして、毒を持っているんです。
当時のエジプトでは、野菜は全部煮て食べました。現代でも、野菜を煮た料理はたくさんあります。
煮ない場合には、日本でいうところの塩揉みですね。塩で毒素を取り出すんです。ちなみに「サラダ」という言葉は、塩──「ソルト」から来ているんですよ。
でも当時は塩が貴重なものだったので、煮て毒素を出す調理法が一般的でした。ですから皆さんも、鍋ものの最後にご飯を入れて、雑炊にしたりして食べないほうがいいんじゃないでしょうか。
実際、古代エジプトは野菜を煮たあとのおつゆは、捨ててしまっていたのですから。
当時の人々が実際に口にしていた野菜というと、玉ねぎやにんにく、ねぎ、キュウリ、ウリのたぐいですね。白菜、あとレタス。
レタスはとても大事にされていました。ミンという名前のレタスの神様もいらっしゃいまして。まあ、簡単にいうとレタスは男性の精力剤なんです。
それから果物だとレモン、イチジク、ザクロ、ブドウなんていうところですね。
by 吉村作治 早稲田大学名誉教授 エジプト考古学者