https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231008/k10014219171000.html
秋の食卓に異変 サンマは不漁続き 暑さで野菜も生育不良に
「食欲の秋」を楽しみにされている方、多いのではないでしょうか。
「目黒のさんま祭」がことしも開催され、抽せんに当選した目黒区民を対象にサンマがふるまわれました。しかし、ことしも不漁が続き、ふるまわれたのは例年の半分以下となる2000匹でした。
さらに、記録的な暑さで各地の農作物にも生育不良などの影響が出ています。
この秋は食卓に異変が起きています
「目黒のさんま祭」がことしも開催され、抽せんに当選した目黒区民を対象にサンマがふるまわれました。しかし、ことしも不漁が続き、ふるまわれたのは例年の半分以下となる2000匹でした。
さらに、記録的な暑さで各地の農作物にも生育不良などの影響が出ています。
この秋は食卓に異変が起きています。
「目黒のさんま祭」は古典落語の「目黒のさんま」にちなんで、地元の町内会や商店街などが開いていて、ことしは抽せんに当選した目黒区民を対象にサンマがふるまわれました。
会場の公園では友好都市の宮城県気仙沼市から届いたサンマが炭火で焼かれ、家族連れなどが秋の味覚を楽しみました。
主催者によりますと、ことしは不漁の影響で祭りの直前に水揚げがない場合を想定して冷凍のサンマの提供も検討していましたが、6日水揚げされた2000匹が8日朝、届けられたということです。
新型コロナウイルスの感染拡大前は例年、5000匹がふるまわれていたため、ことしの提供は半分以下となります。
今シーズンもサンマは不漁か
「全国さんま棒受網漁業協同組合」によりますと、サンマの年間の水揚げ量は2008年には34万トンを超えていましたが、去年は1万7910トンと過去最低となりました。
国の研究機関「水産研究・教育機構」は今シーズンのサンマについて、日本近海に来遊する量は記録的不漁となった去年と同様に低水準となり、大きさも去年よりは若干大きいものの、依然として小ぶりになると見ています。
不漁については、サンマ自体の減少に加えて、水温が低い親潮が南下しなくなるなど潮流が変化し、漁場が沖合に移ったことなどが原因だと考えられるとしています。また、沖合は日本近海に比べてエサが少ないことなどから、サンマの成長が悪化し、小型化が進んでいるということです。
小ぶりなサンマは“干物”で食卓に
秋の味覚、サンマの漁獲量が減る中、そのままでは店頭に並びにくい小ぶりなサンマも干物に加工することで、少しでも食卓に届けようと取り組み始めた会社もあります。
豊洲市場を拠点に通販事業を行う会社ではこの秋から、1匹80グラム台から100グラム程度の小ぶりなサンマを買い取り、干物にして販売する企画を始めました。この日は東京・中央区にある魚の加工販売店の一角で干物作りが行われ、北海道で水揚げされた小ぶりなサンマ4キロ分が運び込まれました。
この会社ではサンマを開かずにまるごと干物にしていて、内臓もあえて取り除かず、まるごと塩水につけ込んだあと塩抜きをして、干物をつくる専用の機械に入れるなどして、加工していました。干物にすることで、日持ちするだけでなくうまみが凝縮されるといい、今後も11月上旬くらいまで製造していく予定だということです。
加工を行っている豊洲市場などで50年近く働く干場誠さんは「ことしのサンマは去年よりは少し大きいですが、最盛期と比べるとかなり細いです」と話していました。
小ぶりのサンマを干物にする企画をした通販会社の八尾昌輝さんは「市場の中でも本当にサンマが少なくて、店頭で見かけることも少なくなりました。これまでは小さいもの
そのままでは店頭では扱われていませんでしたが、商品価値を高めることで食べてもらいたいと考えています」と話していました。