エヌビディアの時価総額、まもなくアマゾン抜く勢い
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米半導体大手のエヌビディア(NVIDIA)の時価総額が、20年ぶりに米アマゾン・ドット・コムを追い抜き、米グーグルの持ち株会社、米アルファベットにも迫ろうとしている。米ウォール街のAI(人工知能)への熱狂が、同社の株価を押し上げているという。英ロイター通信が2月7日に報じた。
■ NVIDIA株、昨年3倍超に 時価総額は米市場で5番目
英ロンドン証券取引所グループ(LSEG)のデータによると、エヌビディアの株価は2024年に入り、40%上昇し、2月7日の午前の取引時点で時価総額は1兆7150億ドル(約254兆1100億円)に達した。
これはアマゾンの1兆7670億ドルをわずか2.9%、アルファベットの1兆8120億ドルを約5.4%下回る水準だ。エヌビディアの時価総額が前回アマゾンを上回ったのは02年であり、当時の時価総額は両社とも60億ドルを下回っていた。
一方、生成AIの開発競争で先行する米マイクロソフトの時価総額は24年1月にそれまでの世界最大だった米アップルを超えた。足元の時価総額は3兆ドル(約445兆円)を超え、世界最大を維持している。
この2社に次ぐ企業は、サウジアラビアの国有石油会社サウジアラムコで、このあと、アルファベットとアマゾンが続く。エヌビディアの株価は23年に3倍以上になり、時価総額はすでに米市場で5番目の大きさになっている。
■ NVIDIA製AI関連製品、アジアで買い占められる
同社が23年11月に発表した24会計年度第3四半期(23年8〜10月期)の決算は、売上高が前年同期比約3倍の181億2000万ドル(約2兆6800億円)、純利益は約14倍の92億4300万ドル(約1兆3700億円)で、いずれも過去最高を更新した。
生成AIが活況を呈すなか、それを支える同社製GPU(画像処理半導体)の需要増が続いている。こうした中、同社製品の価格がアジアで急騰していると、英フィナンシャル・タイムズ(FT)が2月6日に報じた。
例えば、台湾ではエヌビディアのグラフィックカード「RTX 4090」が大量に買い占められており、それに伴い価格が上昇している。
RTX 4090は、価格が数万ドル(数百万円)する高性能GPUと比べ安価な製品である。その正規価格は1599ドル(約23万7000円)だが、23年10月以降は小売店で2541ドル(約37万6000円)の高値で売られる事例が確認されている。
■ 背景に米政府の対中規制
その背景には米政府による半導体の対中規制がある。米商務省は22年10月、AI向け先端半導体を中国などの「懸念国」に輸出することを原則禁じた。これにより、生成AIなどのシステムで業界標準となっているエヌビディア製GPU「A100」と「H100」の中国本土への輸出ができなくなった。そこで同社は、規制基準を下回る性能のGPU「A800」と「H800」を開発し、中国などで販売を再開した。
しかし、バイデン米政権は23年10月に輸出規制を強化すると発表し、中国などに対する米国製先端半導体・装置の輸出規制を拡大した。この新規制によって、A800とH800に加え、RTX 4090も中国本土に輸出できなくなった。
FTによると、RTX 4090は、通常自作PCショップや家電量販店で販売されており、ゲーマーや愛好家などをターゲットにしている。だが、一部のAIトレーニングにも対応できるため、米国の輸出規制対象になった。こうした中、おそらく中国のバイヤーが台湾やシンガポールで、RTX 4090を大量購入しているとみられる。
エヌビディアは米政府の新たな規制を受け、さらに性能基準を下回る3種の半導体の開発に着手した。だが、そのうちの一部は開発が遅れていると報じられている。ロイター通信によると、エヌビディアは現在、70億米ドル(約1兆400億円)規模といわれる中国AI半導体市場で、9割のシェアを持つ。