絵馬には、他人の目にさらされたくない情報が多分に含まれている。同様に、密教系の寺院では「護摩」が行われているが、火にくべる護摩木にも同様に氏名、祈願文が書かれている。

合格祈願や縁結びなどのポジティブな願文は、まだマシなほうかもしれない。全国には「縁切り」で知られる寺社が多くある。京都市の安井金比羅宮、栃木県足利市の門田稲荷神社などが、縁切りで有名である。

そこには「妻と離婚させて」「夫の不倫相手を殺して」「姑、早く死ね」「嫌な上司○○を遠くの支社に飛ばして」など、呪いの文言を書き連ねた絵馬が奉納されている。

空恐ろしい話だが、「縁切り」や「丑(うし)の刻参り」(いわゆる「藁人形」などの呪術)は、古来より存在する「闇の文化」である。このストレス社会において、縁切り寺への参拝は衰えることはない。願主にとって、「ガス抜き」になっている面は否定できない。

だが現代社会において、こうした絵馬のプライバシー情報はスマホで撮影され、SNSによって拡散される恐れがある。最近では、ハガキなどに貼られる「個人情報保護シール」で文面を隠した絵馬も散見されるようになった。ネットショップなどでは、絵馬専用の個人情報保護シールが販売されているほどだ。また、京都市の下鴨神社では15年ほど前から、個人情報保護シールを用意している。

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