取り壊しの危機にあった明治の洋館「旧尾崎テオドラ邸」(東京都世田谷区)を漫画家らが救済し、「漫画文化の発信地」として再生させる計画が大詰めを迎えている。2024年3月1日のオープンを前に記者発表会が催され、計画に携わった漫画界の「レジェンド」らが集結。貴重な記者会見の様子を詳報する。【時事ドットコム編集部 太田宇律、長田陸】

◇尾崎行雄氏ゆかりの邸宅

 新宿から小田急線で約15分。豪徳寺駅(世田谷区)から商店街を10分ほど歩くと、水色の壁が美しい木造2階建ての洋館が見えてくる。旧尾崎テオドラ邸は「憲政の神様」と呼ばれた政治家、尾崎行雄氏の妻であるテオドラ英子さんのため、日本人の父が東京・六本木に1888(明治21)年に建てたものとされる。現在の場所に移築されたのは、1933年のことだ。

 建物の老朽化などのため2020年に取り壊される予定だったが、それに「待った」を掛けたのが「天才柳沢教授の生活」で知られる漫画家、山下和美さん。「かわいくて品のあるたたずまいがとても好きで、散歩のたびによく眺めていた。取り壊し計画を知って居ても立ってもいられず、何とかして残せないものかと動き出した」と振り返る。

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