https://www.jstage.jst.go.jp/article/jorient1962/37/2/37_2_88/_pdf/-char/ja

Ⅱ.料理書の執筆動機と目的

それでは,アラブ料理書は,どのような動機と目的のもとに編述されたのであろうか。多くの料理書の序文をみると,そ れぞれの料理書の著者達は,① 食に関する様々な情報が氾濫する状況下で,情報を整理し正しい知識を定める必要性,② 奇異な料理のみがもてはやされ,嫌悪するような素材が多用されていること,③ 地域の風土やそこに住む人々の体質にあわない料理がもてはやされていること,を共通に指摘し,宗教的および医学的に,「正しい料理al-sahih min al-tabikh」の種類・素材・調理法や食習慣を確立することの必要性を強調していることがわかる。