ハードパワーはあってもソフトパワーに欠ける中国

佐々木)こういうことをすると、中国の対外イメージが悪くなるだけだと思いますが、習近平体制は内向きの政権なので、国外でどう見られるかをあまり気にしなくなっているのかも知れません。20世紀のアメリカの国際政治学者であるジョセフ・ナイ氏は、「ハードパワーとソフトパワー」という有名な言葉を唱えています。

新行)ハードパワーとソフトパワー。

佐々木)軍事力や経済力がハードパワーです。それに対して、文化の力のようなものがソフトパワー。アメリカは1980年代くらいから「国力が衰えた」と言われ出したけれど、ジョセフ・ナイ氏は「そうではない」と。確かに軍事力ではソ連に負ける部分があるかも知れませんが、ハリウッド映画やロックミュージックなど、文化面では圧倒的に世界の信頼を得ており、民主主義国家で自由の砦のようなイメージがある。「そういうアメリカに対する信頼感があるから、我々の国は大国の状態を維持できているのだ」と80年代に言っています。「なるほど、そうだな」と周囲は納得したわけです。

新行)文化の力がある。

佐々木)いまの中国は軍事力が増強されていて、経済力もいずれアメリカのGDPを抜くのではないかと言われ、意気揚々としています。でも、一方では独裁国家の側面がある。

https://news.yahoo.co.jp/articles/65aa6687574ad24ca50dfb4ad55e820222846b0c