宮城・大崎の地熱発電計画、市長「賛同しかねる」 宮城県に慎重審議求める

宮城県大崎市の中山平温泉地区で計画されている地熱発電開発事業について、伊藤康志市長は7日、「現行の事業計画には賛同しかねる」との見解を表明した。県庁を訪れ、掘削許可申請に対する8日の県自然環境保全審議会温泉部会での慎重な審議を求める要望書を伊藤哲也副知事に手渡した。

鳴子温泉郷は源泉枯渇などを理由に反対

計画を巡っては、中山平を含む鳴子温泉郷5地区の観光協会、旅館組合が源泉の枯渇や湯量の減少、環境悪化の懸念などを理由に連名で反対を表明している。伊藤市長は「地域の理解を得られているとは言いがたい。地元の意向を勘案し慎重な審議を強く要望する」と強調した。

地元団体の13人も同席。5地区でつくる鳴子温泉郷観光協会の高橋宣安会長は「大深度掘削の影響は計り知れず、多大なダメージを受ける懸念がある」と改めて反対の立場を伝えた。

市側は暴噴事故による有害物質の流出、掘削時や暴噴対策に必要な用水確保といった懸念も挙げた。地熱開発の可否判断に際しては他の再生可能エネルギーと同様に、技術面の議論に加え自治体や住民が意見を表明できるよう制度の見直しも求めた。

伊藤副知事は「再エネ推進には地元の合意形成が重要。要望書は部会に提出し、懸念に対応するよう事業者を指導する」と述べた。

計画地は中山平温泉の南西約2・5キロの休耕田約8000平方メートル。WIND-SMILE(ウインドスマイル、東京)が代表の合同会社中山平ジオエナジーが、出力4990キロワットのバイナリー発電を計画している。担当者は「理解を得られず厳しい状況と認識するが、協議会や説明会など話をする場を引き続きお願いしていく」と話す。

https://kahoku.news/articles/20240207khn000073.html