「クジラが増えるとアニサキス食中毒も増える」は本当か? 寄生虫の都市伝説を科学ライターが考察

https://web-mu.jp/column/17023/

クジラが増えたせいでアニサキスが増えているとニュースでやっていましたが、本当ですか──そう訊ねると、倉持館長は即座に否定した。

「アニサキスは増えていません。報告が増えているだけです」

 2012年に食品衛生法でアニサキスが食中毒に指定され、医師は24時間以内に最寄りの保健所に届け出ることが必要になった。そのために報告が増えたのだ。

 実は増えているとも減っているともいえないのだと館長。

「以前に比べて、刺身で食べられる魚の種類が増えていますよね。それによって数字が底上げされている可能性はあります。昔は刺身といえばマグロくらいしかなかったでしょう。今はサンマでもサバでもイワシでも、刺身で食べられますよね」

 本当は昔も今くらいの感染数だったのだろうと倉持館長はいう。ただ、昔は報告義務がなかったために全数が把握できておらず、いかにも最近になって増えたように見えるのだ、と。