トランプ氏、選挙開戦7月に軍資金枯渇の見通し-弁護士費用で綱渡り

ホワイトハウス返り咲きを目指すトランプ前大統領は、この夏にも選挙運動の軍資金を使い果たす可能性が高い。膨大な弁護士費用がかさむためだ。共和党の大統領指名レースを独走しながらも、予想される現職バイデン大統領との一騎打ちを前に資金繰りに窮することになる。

  トランプ氏が2023年に弁護士費用に使った額は5120万ドル(約77億円)。さらに2660万ドルをスーパーPAC(政治活動委員会)の資金から弁護士費用に充当することができる。しかし4件の刑事裁判を抱える同氏の弁護士費用が積み上がり、使用できる資金は7月頃に尽きると予想される。7月は共和党の全国大会が開かれ、正式な選挙戦がスタートする極めて重要なタイミングだ。

  弁護士を雇い続けるためにトランプ氏に残される選択肢はわずかで、いずれも苦しい選択となる。

すでに資金難に陥っている共和党全国委員会(RNC)に、トランプ氏が弁護士費用の負担を強要することはあり得る。そうなればRNCでは同氏の選挙運動を支える資金は減少する。あるいは同氏のリーダーシップPAC「セーブ・アメリカ」からもっと資金を吸い上げることも可能だ。同氏の刑事・民事裁判費用を用立てているこの団体は、大統領返り咲きを支援する大勢の支持者による小口献金で成り立っている。同氏はすでにオンライン献金の10%を弁護士費用に充当しており、その額は2023年に990万ドルに相当する。

セーブ・アメリカが数千万ドルもの弁護士費用を支払うことができたのは、トランプ氏の選挙運動を支援するスーパーPAC「メーク・アメリカ・グレート・アゲイン(MAGA)」に対する過去の送金が返金されたためだ。

  資金調達に制限のないMAGAは、2023年に調達した資金1ドルにつき71セントをトランプ氏の弁護士費用に充てた。この資金は投資家のティモシー・メロン氏やクラウンクエスト・オペレーティングのティモシー・ダン氏、ホーム・デポの共同創業者バーニー・マーカス氏といった富裕層の献金で成り立っている。MAGAはさらに2660万ドルまでセーブ・アメリカに返金することが許されているが、それ以上はできない。

  「われわれの使命は単純明快だ。トランプ氏を当選させるために共和党のリソースを最大限にすることだ」と、トランプ陣営の上級顧問であるクリス・ラシビタは声明で述べた。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-02-14/S8UJHTT0AFB400