中国株「習近平暴落」なのに、本人はあっけらかん!


春節中の中国で起こっていること

 中国はいま、春節の8連休(2月10日~17日)である。その直前の1月末から、習近平主席は、頻繁に公の場に現れた。


 習近平主席の一連の行動は、「私は元気だ」とアピールしたかったのだろう。前回の号で記したように、すい臓がん説が飛び交っていたからだ。

 一方、予想もしなかったことが起こった。1月29日から2月2日まで、中国の株式市場が連日下落した。上海総合指数は一週間の下落率が6.19%、深圳の下落率は8.06%で、創業板(スタートアップ企業の上場市場)の下落率は7.86%であった。

 中国政府は、利下げや財政出動などで株を上げようとしたが、著しい効果は見られなかった。失望した投資家たちは、思わぬところへ救助を求めるようになった。駐北京の米国大使館だ。

 2月2日21時55分に、駐北京の米国大使館は公式の「微博(中国のSNS)」で、「2月は米国の黒人の歴史の月」という文章を出した。それに、思わぬ書き込みが殺到したのだ。それは「米国を称えつつ、中国の株を救って下さい」と、中国のネット愛好者たちが呼び掛けたものだった。どんどん書き込みは増えていったが、それらは米国への祝福というより、暗に中国を批判するものばかりだった。

 例えば、こんな調子だ。

 「彼らは評論もさせない」

 「我々の国で、(月収が)3000元(約6万円)は中産階級入りだが、米国では入れる?」

 「@人民日報は株の投資家を愛しているか」

 「偉大な米国が繁栄するように祈っております」

 以上は、書き込みのごく一部で、2月4日までの分だ。同日時点で、この駐北京、米国大使館の「微博」の記事には56万件もの書き込みがなされ、662回もレーポスト(米大使館の記事を転送して自分のアカウントに公表して、より多くの人々に読まれるように拡散すること)された。また湖南や広東、上海など中国国内からの書き込みが多かった。時がたつにつれ、「いいね」も増加した。

中には「書き込みが次々と削除されたので、編集者が忙しくで、クレイジーになりそう」と書いた人もいた。つまり、米国大使館のアカウントなのに、厳しい対中批判や隠語での指導者への不満は、全部削除されたのだ。読めるのは、上記のような穏やかな書き込みだけになっている。

 米国大使館のアカウントだから、『人民日報』などの中国政府のマスコミのアカウントのようには、書き込みを封じ止めることが完全にはできない。そう思った中国人の書き込みが殺到したのだった。

 米国大使館の「微博」への書き込みが削除されているのがわかると、中国人はインド大使館の「微博」に書き込みするようになった。これまでにはなかった現象だ。

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/aba0b3fe54e6e327f507894839a68df16acab776