中国の半導体メーカー・SMICがアメリカの規制を乗り越えてファーウェイのHiSiliconが設計した5nmプロセスのチップを製造することが明らかに

>2019年頃から続くアメリカ主導の経済制裁の結果、中国では諸外国と比べて半導体製造技術において後れを取っています。しかし、中国最大手のチップメーカーであるSMICに、通信機器メーカーのHuaweiが提携し、5nmプロセスのスマートフォン向けチップの製造を開始する計画があることが報じられました。

>プロセスノードは小さければ小さいほど、チップ内のトランジスタ数を増やすことが可能で、性能とエネルギー効率を高められます。一般的に、5nmプロセスのような高性能な半導体を製造するには、極端紫外線リソグラフィー(EUV)装置が必要です。しかし、EUV装置をほぼ独占的に扱っているオランダのメーカー・ASMLは、中国へのEUV技術の輸出が禁止されています。そのため、中国国内では深紫外線リソグラフィー(DUV)装置が半導体製造に用いられ、その結果、多くの半導体が7nmプロセスノードまでの性能にとどまっています。

>それでもSMICは、提携先のHuaweiが設計した5nmプロセスチップを大量生産するため、上海の工場に半導体製造ラインを新設しました。5nmプロセスのチップの製造について、海外メディアのFinancial Timesは「SMICは既存のアメリカとオランダ製の設備を利用することで実現しました」と報告しています。

>一方で、SMICの5nmプロセス半導体の価格はコストがかかると報告されています。中国のファブレスチップ関係者によると、SMICの5nmおよび7nmプロセス製品の価格は、台湾のチップメーカー・TSMCの同クラスの製品の価格よりも4割~5割高いとのこと。また、SMICが7nmプロセス製品の販売で得られる収益は、TSMCの3分の1以下と考えられていることから、海外メディアのTom's Hardwareは「中国の高度な半導体生産における経済的な実行可能性と効率について疑問を抱きます」と指摘しました。

なお、SMICが2024年2月6日に発表した2023年第4四半期決算では、純利益が1億7468億ドル(約258億円)にとどまり、前年同期比から純利益が55%減少したことが報告されています。SMICは減益の理由として「世界的な半導体需要の弱さや業界内の激しい競争環境」を挙げました。

https://gigazine.net/news/20240207-smic-5nm-chip/