https://news.yahoo.co.jp/articles/90a3c4d79c6015332e15cdcd0f3782d92b44928c

強迫症で「浴室から6時間出られず」 小学生で発症した経験胸に 悩む子へ「人に頼って」

長時間手洗いしたり、何度も戸締まりを確認したり…。「強迫症」の患者は今、50〜100人に1人いるとも言われています。神戸市の福原野乃花さん(22)は、小学校低学年の頃から、強い不安や恐怖に襲われたり、手や体を洗い続けたりする症状に苦しんできました。「やめたいのにやめられない」。浴室に6時間こもったこともあるそうです。治療を始めて症状が改善し、強迫症がテーマの映画を制作した福原さんに話を聞きました。

芸人らの告白で注目「HSP」って、どんな人たち?

福原野乃花さんが気持ちを打ち込んだスマホ画面

 ―何かきっかけが?
 「小学2年の時、身近な人を『うっとうしいな』と思っちゃったんです。大事な人に対して、なんてひどいことを思ってしまったんだろうと、不安や恐怖が押し寄せてきました。そうじゃない、私は悪い人間じゃない、と繰り返し考えることがその日から始まりました。でも、不適切な言葉を思い浮かべちゃいけないと思うと、逆に浮かんできたりして…」
 「小学3年では、手に体に悪い物が付いてるんじゃないかと思い、何回も洗うようになりました。4年になると、誰かを傷つけたらどうしようという加害恐怖が強くなって、はさみも触れなくなりました」
 ―中学では?
 「気にしたら『引きずり込まれる』と思い、気にしないようにして普通に過ごせていた時期もあります。でも3年の冬、手に危険な物が付いているという恐怖に襲われました。そのせいで、誰かを死なせてしまうかもしれないという考えが浮かび、その恐怖を消したくて手を洗いました。やりすぎと分かっていても、手の皮がむけても、完璧に洗いたい。他の子は受験勉強をしているのに、私は手を洗っていました」
 ―高校は?
 「高校でも勉強どころじゃなくて。自分の手で触ったものを、だれかが触って、それを食べて、その人の体に悪い物が入ったらどうしよう…と。ありえないと分かっているけど、そういう考えになっちゃう。自分が一番ばかばかしいと分かってて、でもやめられないから苦しかった。洗いたくて洗っていると思う人がいるかもしれないけど、本当は洗いたくないんです」
 「自分の中に強迫という悪魔がいて、それに命令されている感じ。やりたくないのに、お風呂で2〜3時間ぐらい体を洗っていました。手も足も、数を数えながら、決まった回数を洗うんです。お風呂はずっと怖くて苦しい場所でした。入りたくないけど、入らないといけない。ある日は、午前2時までお風呂のことで葛藤し、疲れて寝て、午前4時に起きて2時間お風呂に入り、部活に行くため朝6時半に家を出ました。もうろうとして、現実を生きている感じがしませんでした」
 「私、高校にすごく憧れてたんです。楽しい3年間にしたかった。普通の高校生でいたかった。学校では普通のフリをして、みんなが行かない別の階のトイレに行って、ばれないように手を洗ったりしていました。高校では楽しいこともあったけれど、その裏には常に、お風呂に葛藤する地獄の時間がありました」