先日、ユニークなハンコが発売された。「言いづら印」という名称で、「そんなに安く出来ません」「不当な返品はやめて」「やり直しならお金払って」といった、文字通り「下請け企業が言いづらい本音を代弁するメッセージ」が本格的な印相体で刻印された印鑑だ(なお、筆者は本商品の企画監修を務めた)。


「下請け企業の言えない本音を代弁する 言いづら印」(画像は公式Webサイトより)
 製造元の印鑑メーカーがこの商品を作った背景には、「発注企業が受注企業に対して不当な要求をする『下請けいじめ』の問題を多くの人に知ってもらいたい」との意志がある。

 以下のような事例を聞いたことがあるだろうか。

 「大手メーカーが、下請けのメーカーに作らせた製品を仕入れる際、契約時の正規料金から『事務手数料』という名目で一定金額を差し引いた代金を支払っていた」

 「有名和菓子店が、下請けの食品工場が納入した菓子が予想より売れなかったため、品質検査を実施していなかったにもかかわらず『品質に瑕疵(かし)がある』との理由で返品し、下請け会社に引き取らせた」

 「大手ホームセンターが、自社店舗の商品入れ替えや陳列作業を手伝わせるために、自社で販売している商品を納品する下請けメーカーに対して従業員派遣を要請し、無償で働かせた」

 このように、ある企業が、自社で販売・使用する商品や製品を発注している下請け企業に対して、不当な値切り行為や支払遅延をしたり、相手側に非がないにもかかわらず、受け取り拒否や返品などをしたりする行為を総称して「下請けいじめ」と呼ぶ。発注企業側としても、下請け企業からの納品がなければビジネスを進められないわけであるから、建前上は両社対等の立場であるはずだ。しかしどうしても「発注側」と「受注側」という関係性が生まれる以上、上下関係が発生してしまうことは避けられない。https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2402/16/news017.html

 そんな背景から、元請け(発注側)の立場を悪用した、下請け(受注側)へのパワハラが、多くのビジネス現場において深刻な問題となっている。

どんどん巧妙化する下請けいじめ、過去最悪の状況に