「女児の性的対象化につながる」H&Mの広告に批判殺到→削除し謝罪 消費者は広告とどう向き合うべき?識者に聞いた

2/16(金) 7:07配信

衣料品大手「H&M」が1月、オーストラリアで展開したキャンペーン広告に「女児の性的対象化につながる」といった批判が集まり、広告を削除・謝罪する騒動があった。日本でも広告の“炎上”事例は多く見られるが、われわれ消費者は広告における表現をどう見極めるべきなのか、識者に聞いた。

【写真】ルッキズムの意識を植え付けてしまう…広告デザインに批判が殺到しました

問題とされたのは、同社がオーストラリアのSNSユーザー向けに配信した広告。通学バスを模したピンク色の空間に制服姿の少女2人が立ち、こちらを振り返っている。「Make those heads turn in H&M’s Back to School fashion(H&Mの『バック・トゥー・スクールファッション』で注目を集めよう)」(※ バック・トゥー・スクールは新学期の意)というコピーが添えられており、この文言に疑問を投げかける声が上がった。

広告における性的表現や児童ポルノなどの問題を扱うオーストラリアの作家、メリンダ・タンカード・リースト氏はXで広告を批判。「私が学校で関わる子供たちの多くは自分の外見に不必要な注目を集めたがっていない」「なぜ少女が自分の外見や体、スタイルに注目を集めるべきだという考えを煽ろうとするのか」とした。

他のXユーザーからも「女児の性的対象化につながる」「制服姿で振り向かせようというニュアンスがある」「ルッキズムの意識を植え付けてしまう」といった意見があった。

これを受け、同社は広告を削除。Xで「広告に不快感を感じた方々に深くお詫び申し上げる。今後の広告の方向性について検討する」と謝罪した。

こうした広告の“炎上”事例は日本でもよく見られるが、我々消費者はさまざまな広告の表現とどのように向き合えば良いのか。東北学院大学の小宮友根准教授(社会学・ジェンダー論)に聞いた。

ーーーH&Mの広告が批判を浴びた件について

小宮氏:児童への性的虐待に対する危惧、女性がより性的対象にされやすい現状への問題意識などが議論のポイントになっていると考えられる。

広告は一見すると、女の子を性的対象にする描き方はされておらず、むしろおしゃれをしようという女の子の主体性が描かれているともとれる。しかし、だから問題ないという話にはならない。あくまで広告には作り手がおり「どういう価値観を表現しているのか」が問われる。

つまり「自身の性的魅力を気にする主体」として女児を描くことが、現実社会における性差別や児童虐待との関係でどのように見えるのかが問われている。広告を作るという行為自体が社会的行為であり、作品が社会から切り離されたところにあるわけではないという点は留意すべき。

実際の広告画像
https://i.imgur.com/zCvPLFR.jpg

https://news.yahoo.co.jp/articles/856ab5dd0d275ccac5d68602f7fae54f2f74d62a