「平和学の父」 ノルウェーの平和学者ヨハン・ガルトゥングさん死去
浪間新太2024年2月19日 14時30分

 平和学の第一人者で「平和学の父」として知られるノルウェーの学者、ヨハン・ガルトゥングさんが17日に死去した。93歳だった。オスロ国際平和研究所(PRIO)が発表した。

 ガルトゥングさんは1930年生まれ。祖国ノルウェーがナチス・ドイツに占領された際、父が強制収容所に送られた。平和研究を志し、59年にPRIOを設立。戦争のない状態は「消極的平和」にすぎず、貧困や差別といった構造的な暴力のない「積極的平和」を目指すべきだと60年代から提唱した。

 日本とも関わりが深く、中央大や立命館大などで教えた。「日本人のための平和論」(ダイヤモンド社)の著作もある。

 憲法9条を評価する一方で、軍縮などの国際問題で日本が解決策を示せていないと指摘。日本外交については「米国一辺倒で政策が硬直している」と注文を付けていた。

 朝日新聞の15年のインタビューでは「積極的平和を実現するには、未解決の問題を解決して、紛争の種をなくしていく必要があります。日本は中国や韓国との和解に向けたプロセスがまだ十分ではありません」と話していた。(浪間新太)

https://www.asahi.com/articles/ASS2M4596S2MUHBI00B.html