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オオサンショウウオの「絶滅種」、日本で発見 京大など
京都大学の西川完途教授らの研究グループは、絶滅したと考えられていた中国原産のオオサンショウウオの一種が日本で計2匹飼育されていることを発見した。今後、人工繁殖させることを計画している。
研究成果は英科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。2019年までに野生では絶滅したとされていた「スライゴオオサンショウウオ」が見つかった。
研究グループは国内のオオサンショウウオの交雑の状況を確かめるため、京都市を流れる鴨川などの河川で捕獲した。水族館や動物園で飼育されている個体も合わせて計73匹分のDNAを調べた。その結果、4匹がスライゴオオサンショウウオだと判明した。現在もサンシャイン水族館(東京・豊島)と広島市安佐動物公園(広島市)でそれぞれ1匹ずつ飼育されている。
グループは今後、メスのクローンの作製や人工繁殖などを通じて個体群の復活を目指す。国内のオオサンショウウオを巡っては、過去に中国から持ち込まれて野生化した外来種との交雑が進み、日本固有種の個体数の減少が問題になっている。こうした事態を受け、環境省は今夏にも外来種と交雑種を外来生物法の「特定外来生物」に指定する方向で検討している。
西川教授は「発見した個体は野生絶滅した種を復活させる救世主になる可能性がある」と期待する。一方で、「厄介者扱いされる外来種が種の保全に貢献しうることを示す事例で、外来種問題の難しさを表した発見でもある」と話す。