昆虫飼料で養殖したブリなどを使った料理の提供が始まった。丸紅が手掛けるサステナビリティー(持続可能性)に配慮した食材で、3月15日まで東京・大手町の同社の本社ビルに入居するイタリアンレストランで提供する。
丸紅は本格的な流通に入る前に消費者の反応を得ることで、最適なマーケティングや販売の方法を探る狙いだ。

ミールワームという昆虫からつくったえさで育てたブリのカルパッチョ(1380円)や、大豆ミートと環境認証を取得した白身魚「バラマンディ」を使ったポワレ(1580円)など4種類を提供する。

これらの食材は流通量が少ないことから、味や栄養成分への影響への理解が進んでいないのが現状だ。期間限定でも一般提供し、消費者の反応がよければ食品メーカーやスーパーなどに営業しやすくなる。

特に昆虫飼料で養殖した魚は、イメージだけで敬遠する消費者や小売りや卸業者が一定数存在する。丸紅のウェブ調査では、昆虫飼料で育てたブリを「食べたい」「やや食べたい」と答えたのは最も肯定的だった20〜30代でも3割にとどまった。

一方、実際に昆虫飼料を使ったブリを試食してもらった人に同じ質問をすると、全体平均の8割が「今後も食べたい」「今後もやや食べたい」と回答したという。

今後は、昆虫飼料を使ったブリと通常のえさで育てたブリの栄養成分を調査したり、百貨店などのイベントに出店したりして消費者認知を高めていく方針だ。穀物油糧部の桑野洋平課長は「5年前に比べメーカーや小売りの関心が高まっている」と期待する。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC168YC0W4A210C2000000/