筑波大学は2月16日、毛髪の主成分であるケラチンをマイクロ球体化し、水中に分散させた「ケラチンマイクロ球体ゲル」に、毛包の成長促進効果があることを、マウスを用いた実験により実証したと発表した。この研究は、同大生命環境系の礒田博子教授と数理物質系の山本洋平教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「ACS Applied Bio Materials」に掲載されている。

毛髪の成長には、成長サイクルの調整が重要な役割を果たす。毛包の成長サイクルは、成長期(成長)、退行期(退行)、休止期(休止期)の3段階に分かれている。毛包の複雑な三次元構造には、独特の生化学的、代謝的、免疫学的特性が含まれており、毛包は、物質が皮膚のより深い層に入る経路として機能する。したがって、発毛・育毛を促進するには、毛包に有効成分を届けることが重要だ。

現在、利用可能な脱毛治療薬としては、FDA(アメリカ食品医薬品局)が承認したミノキシジルなどがあるが、これらは部分的な治療効果しか見られない上、副作用が大きな問題となっており、特に女性や子どもへの投与は大きく制限されている。一方、皮膚と毛包の機能は、ケラチン発現の制御に依存していることから、広範囲の皮膚および毛髪疾患における新規治療戦略の開発において、ケラチンに大きな関心が寄せられている。

つづき
https://www.qlifepro.com/news/20240226/keratin.html