北海道・知床半島沖で2022年4月に沈没した観光船「KAZU I(カズワン)」の運航会社「知床遊覧船」が事故前年に乗組員を雇った際、船員法に違反して契約書類を渡していなかったとして、網走簡裁(井田久敏裁判官)が同社の桂田精一社長(60)に罰金10万円の略式命令を出したことが分かった。

 起訴状によると、同社は21年3月と5月、40歳代の元船長ら2人と雇用契約を締結。船員法は雇用主に対し、給料の金額や労働時間などを記載した書類の交付を義務づけているが、桂田社長は2人に書類を渡していなかったという。

 カズワンは同6月、この元船長が操船中に予定航路を外れて座礁する事故を起こしており、同簡裁は法人としての同社にも船員法違反と海上運送法違反で罰金40万円を命じた。命令はいずれも20日付。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20240226-OYT1T50123/