――なぜ今、「暴力論」なのでしょうか? 本書執筆のきっかけを教えてください。

森 2022年の安倍晋三暗殺事件がきっかけのひとつです。誰も正攻法では安倍晋三の悪事を断罪できなかったけれど、事件後には統一教会の問題も裏金問題も次々と明るみに出ました。「暴力では何も変わらない」という人もいますが、これは暴力で変わったと思われる事例のひとつです。

実際、本書では暴力的な運動が世の中を改善してきた事例を多数紹介しています。全否定されがちな暴力というものの別の面を整理することが、本書執筆の目的です。

(中略)

――知らず知らずのうちに暴力を振るわれる現代において、私たちは暴力をどうとらえ、どう向き合えばいいのでしょうか?

森 われわれもまた、暴力をちらつかせるべきです。国家や企業などのヒエラルキー上位をビビらせることのない抵抗で喜ぶのは、ヒエラルキーの上位にほかなりません。

誰にも迷惑をかけないお行儀の良いデモでは何も変わらないことは、ここ十数年でも証明されてきました。自分たちにもヒエラルキー上位をビビらせる力があることを示していかなければ、状況が改善することはないでしょうね。

この点、諸外国ではここ十数年でどんどんラディカルな社会運動が広がっています。そこから学べることは多いと思います。

https://news.yahoo.co.jp/articles/737de9ffa96c55dd47dd28550bb56372a5690611