中国が国家秘密保持法の改正案可決 全人代常務委、共産党の影響力高め「国家安全」を強化
2024/2/27 18:16
【北京=三塚聖平】中国の立法機関、全国人民代表大会(全人代)常務委員会は27日、北京で開いた会議で国家秘密保持法の改正案を可決、成立させた。国家秘密の保護に関して中国共産党の影響力を高めることを明文化した。習近平政権は昨年も改正反スパイ法を施行するなど、「国家安全」を政権運営の優先事項に置く姿勢を強めている。
国家秘密保持法は1988年に制定され、2010年にも改正された。中国メディアによると、これまでに公表された今回の改正案では「国家秘密を守る活動において中国共産党の指導を堅持する」ことを明記した。
また、国家秘密保護に関する宣伝や教育を国家主導で充実させることなどにより、秘密保護意識を社会全体で増強することを掲げる。国家秘密に関わる企業に秘密保護の管理能力を高めることを要求。企業で国家秘密に関わる人物には退職後の一定期間、就職や海外渡航で制限を課した。
秘密保護に関する科学技術の研究や応用を国家が奨励、支持することも定めている。ビッグデータや人工知能(AI)といった新技術への対応が念頭にあるもようだ。
中国は昨年7月、スパイ行為の定義を拡大した改正反スパイ法を施行した。米国などとの対立が続く中、習政権は西側諸国が共産党政権の転覆や不安定化を狙っていると警戒する。それが国内の引き締め強化につながっている。
昨年春にはアステラス製薬の日本人社員がスパイ容疑で拘束された。国家安全に関する法制度の不透明な運用に外資企業は懸念を増し、対中投資意欲の減退につながっている。
https://www.sankei.com/article/20240227-OWE2FQ63KNO37MXVQM3V2DA4AE/