政府は、デジタル化に伴い職務を失う事務職従事者(ホワイトカラー)が、非ホワイトカラーに移って活躍できるよう支援することを検討する。「新しい資本主義実現会議」が27日、物価上昇を上回る持続的な賃上げに向けた施策の論点案を公表した

  論点案によると、労働需要が少なくなるおそれがあるホワイトカラーが製造業や土木などのブルーカラー産業に転職しやすくする。各業界団体がソフトウエア操作などで必要なスキルの標準を設定し、転職希望者が身に付けることができるよう政府として支援していく。人手不足の産業に労働移動を進めることで業界の生産性と賃金の引き上げにつなげる。

  1月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は2.0%と22カ月連続で日本銀行の掲げる物価目標の水準を維持した。論点案は2%目標の継続を前提に、今春闘にとどまらず幅広い産業で賃金上昇が続くよう政策面で後押しする狙いがある。しかし、政府が対象とする業界では物価高を価格転嫁できずに収益を減少させてきた企業も多く、新たな人材確保に乗り出せるかは不透明だ。

  個々の企業の実態に応じた役職定年・定年制の見直し検討や、能力のある若手や労働意欲のあるシニア層が企業内で希望職務に応募できる制度の導入なども検討していく。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-02-27/S9HWHZT1UM0W00