メルセデス「2030年完全EV化」撤回、新規エンジン開発中

メルセデスが「2030年完全EV化」を撤回

 ドイツMercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)グループは、2030年までに「市場が許す限り」(同社)新車販売の全てを電気自動車(EV)にする計画を撤回した。2030年代もプラグインハイブリッド車(PHEV)などエンジンを搭載した電動車を販売する。各地域の排ガス規制に対応するため、新しいエンジンも開発しているという。2023年から続くEVの減速で、EVシフトに注力してきた欧米の自動車メーカーは戦略の見直しを余儀なくされている。

2021年に宣言

メルセデス・ベンツ、2030年までに全販売車種をEVに

 メルセデスが2024年2月22日(欧州時間)に開催した2023年12月期通期の決算会見で明らかにした。2030年代に入っても、EVだけでなくエンジン搭載車も展開し「さまざまな顧客ニーズに対応できる体制を整えていく」(同社)という。同社は「(EVへの)変革のペースを決めるのは、顧客と市場の状況」と強調した。新車販売の100%をEVにする新たな期限は公表していない。

 メルセデスは、2025年に同社の新車販売の5割がEVとPHEVになるとの見通しも修正した。このパワートレーン比率が実現するのは2020年代後半と見込む。同社の2023年におけるEVとPHEVの販売比率は2割で、2024年もほぼ横ばいになる見通しだ。

メルセデスの戦略変更

2030年代もEVだけでなく、内燃機関(ICE)搭載車を販売する。電動化やEVシフトのペースは、顧客や市場が決めると強調した。(出所:メルセデス)

 世界的なEV需要の鈍化で、EV戦略に狂いが生じている欧米勢はメルセデスだけではない。米General Motors(ゼネラル・モーターズ、GM)や同Ford Motor(フォード)は、ピックアップトラックのEVモデルの発売延期や減産を決めた。フランスRenault(ルノー)は「市場環境が上場に適さない」(同社)として、EV新会社Ampere(アンペア)の新規株式公開(IPO)を中止する。

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/08950/