●トランプ政策で浮上する株

 トランプ氏が大統領に復帰した場合、地球温暖化対策の世界的枠組みである「パリ協定」から再び離脱することも考えられる。気候変動対策の転換は、もちろん株式市場における銘柄の物色動向にも大きな変化を与える可能性がある。

 環境政策の大転換は、自動車のEVシフトの減速につながりそうだ。欧州では、35年までに内燃機関(エンジン)の販売を全面的に禁止する方針が撤回された。また、米国では猛烈な寒波のためバッテリー切れを起こしたEVが続出したことで、内燃機関型の自動車の見直しにつながっている。一方日本は、EV一辺倒ではなく内燃機関を使用するハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)でも世界に攻勢をかけており、関連銘柄には思惑買いが流入する可能性もある。

 トランプ氏は保護主義を鮮明にすることが予想されるだけに、日米経済摩擦の再燃には注意が必要だが、トヨタ自動車 <7203> [東証P]をはじめ、ホンダ <7267> [東証P]など自動車メーカーにとっては、収益機会が広がることも考えられる。

 トヨタ系自動車部品メーカーで燃料噴射装置やポンプなど主力の愛三工業 <7283> [東証P]、自動車エンジン部品でピストンリング大手のTPR <6463> [東証P]をはじめ、ティラド <7236> [東証P]、東京ラヂエーター製造 <7235> [東証S]、ユタカ技研 <7229> [東証S]などには目を配っておく必要がありそうだ。もちろん内燃機関に絡む銘柄も、EV推進に向けた動きを強めていることは言うまでもない。愛三工は業績も好調だ。1日取引終了後に発表した、24年3月期第3四半期累計(4~12月)の連結営業利益は、前年同期比56.2%増の146億6100万円に拡大し、通期計画160億円に対する進捗率は91%に達している。

 また、環境政策に加えて、エネルギー政策の転換から石炭関連株を刺激する可能性もあり、住石ホールディングス <1514> [東証S]、三井松島ホールディングス <1518> [東証P]、日本コークス工業 <3315> [東証P]など注目しておきたい。また、火力発電所にも関心が向かえば、火力発電設備、発電プラントの周辺設備を手掛ける西華産業 <8061> [東証P]にも妙味が出るかもしれない。同社は火力発電の低・脱炭素化にも取り組んでおり、環境への配慮も怠らない技術力の高さは大きなポイントだ。

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