強制わいせつ容疑で逮捕され、不起訴処分となった東北大学医学部の元学生の男性が、退学処分は不当だとして大学に学生の地位の確認などを求めた訴訟の判決が29日、仙台地裁で言い渡された。高橋彩裁判長は「退学処分とすべき事情は乏しい」などとし、学生としての地位を認めた。

男性は2021年11月、カラオケ店の女子トイレで女性にわいせつ行為をしたという強制わいせつ容疑で逮捕されたが、同年12月に不起訴処分となった。大学側は22年2月、同容疑での逮捕などを理由に男性を退学処分とした。男性側は訴訟で、「無罪推定の原則を踏まえれば、逮捕を理由とする退学は許されない」などと訴えていた。 

判決はまず、「退学処分はやむを得ない場合に限り選択すべきで、特に慎重な配慮を要する」とした。大学側の対応について、「男性が強制わいせつを否認していることを踏まえ、行為の有無を検討したことはうかがえない」とし、「処分は重要な事実について全く基礎を欠き、慎重な配慮がされたとは認めがたい」と指摘。処分は「裁量権の範囲を逸脱している」と結論づけた。男性側の損害賠償請求の訴えは退けた。

東北大学広報室は「判決の内容を確認し、今後の対応を検討する」とした。(根津弥)

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