―ここからは下村さんによるイヤホンのレビューをお聞かせいただければと思います。まずは中国深センに本拠地を置くブランド「qdc(キューディーシー)」の有線イヤホン『SUPERIOR(スーペリア)』の使用感からお伺いしてもよろしいでしょうか?

下村:機材についてそれほど詳しいわけではないのですが、有線のイヤホンは30本ぐらい持ってるんですよ。外出用のポーチやバッグのポケットひとつひとつにイヤホンが入ってます。そんな私の基準は超えてきましたね。長時間そのイヤホンを聴けるかどうか、装着していて不快でないか。これらが私の中ではすごく大事で、このイヤホンはその前提を満たしていると思います。イヤホンが出力する音って、ローが出てるとかすべての音がフラットに聞こえるとか色々あるんですけど、私にとってまず重要なのは「長時間の利用が可能かどうか」。実は私、この耳掛けのタイプって苦手意識があったんですよ。もう、どうやっても自分の耳に馴染まないと(笑)。

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―フィット感も良好だったわけですね。

下村:そうなんです。私の耳の形が変なのか分からないんですが(笑)、今まで使った同種のイヤホンのほとんどは合わなかったんです。その感覚のズレがこのイヤホンにはなくて、耳掛けがフィットすると不快感ってここまでなくなるんだってことを知りました

下村:オーケストラもポップスもクリアに聴けますね。イヤホンによってはオケは問題ないけどポップスはちょっと……みたいなパターンもあると思うんですが、この『SUPERIOR』は対応力が高いと思います。私が聴いた範囲ではどのジャンルも良い感じに聞かせてくれました。個人的には、音がフラットな印象もあります。本当にモニターっぽいと、情報量が多過ぎちゃうんですよね。良いバランスというか、リッチな音だけどまさに疲れない塩梅になっていると思います。ある程度試聴を終えてから値段を見たんですけど、そこでも驚きました。さすがに3万円ぐらいはするだろうと思っていたので(笑)。

―そこにDAC『AK HC4(エーケー・エイチシーフォー)』(Astell&Kern )を着けたら一体どんな音が……。

下村:めちゃくちゃ個人的な好みを言わせてもらいますと、私は正直DACが無くても良いと思いました。あくまで私の感覚ですが、ちょっとクリアになり過ぎちゃう印象があるんですよね。角が取れて丸くなっていた音が、ソリッドになってしまった感があるというか。ただ、イヤホンをかえてDACを使ってみたら、すごく良かったんですよ。特に「低音がブヨブヨしてるなー」というイヤホンにこのDACをかませたら、すごく良い音を鳴らしてくれるようになった。