漁業を基本にして、舳倉島と海士町という2拠点の住民であることを前提にした全国でも稀に見る共同体なのだ。このため漁師の世帯が多く、加入している約300世帯のうち、150世帯ほどが漁に出ているという。

 ところが、その根幹が今回の地震で大きくぐらついた。

 まず、漁ができなくなり、舳倉島へも渡れなくなった。

 輪島港の地盤が1〜2mも隆起したため、漁船の船底が海底に着いてしまったのだ。船を動かそうにも動かせず、漁には出られなくなった。岸壁や荷さばき場などの港湾施設の被災も激しい。

 輪島港が使えなくなったので、舳倉島への定期船も運航できなくなった。

 舳倉島の震度は5弱だったが、津波に襲われた。島に上陸できないので、被害の詳細は分からないが、住めるような状態ではないと言われている。

 漁師は全員が失業状態になった。

「年配の人の中には、港の復興に何年もかかるようなら、廃業するしかないと話している人もいます」と自治会長の橋本さんは表情を曇らせる。

https://news.yahoo.co.jp/articles/056cf5ceb40aaf5873a158da5d878fa012fbd8de