昨年9月に宝塚歌劇団・宙組(そらぐみ)に所属する劇団員(享年25)が自死した事件で、劇団側と遺族側との協議が続いている。

 そんな中、5月17日から開幕する予定の宙組公演『FINAL FANTASY XVI(ファイナルファンタジー16)』の上演が取りやめになっていたことが、『週刊文春』の取材で分かった。

◆パワハラ認めるも“合意締結”は実現されず…

 2月27日の遺族側弁護士の会見では、遺族側が主張する上級生らによる15のパワハラ行為について、劇団側が「多くの行為がパワハラに該当する」と認めたことが明らかになった。

 その一方で、劇団側は個々のどの行為をパワハラと認めるかを明確に示さず、協議が合意した場合の謝罪内容の公表の仕方などをめぐり両者の主張に隔たりがあり、現在まで合意締結に至っていないことも判明した。

 振り返れば、2月上旬、歌劇団を運営する阪急電鉄の親会社、阪急阪神ホールディングスの角和夫会長は、「(遺族側との)交渉を続けて、双方、大きな違いはないところまできている。2月中には話し合いがまとまれば良いと思っている」と公の場で発言していたが、それが実現しなかった形だ。

◆「2月中の合意締結」はスクエニ側からの要望だった

 角氏が「2月中の合意締結」にこだわったのはなぜか。

「宙組は5月17日に本拠地・宝塚大劇場で開幕する公演をもって活動を再開する予定です。この公演では、宝塚歌劇110周年紀念奉舞とミュージカルの2本立てが上演されることになっている。ミュージカルは『FINAL FANTASY XVI(ファイナルファンタジー16)』で、原作者として製作協力するのが株式会社スクウェア・エニックスです。同社は劇団に対して2月までに遺族側との協議が合意に至らない場合は上演を取りやめるよう通達していました」(阪急関係者)

https://bunshun.jp/articles/-/69315