能登半島地震で旅館やホテルに身を寄せる2次避難者の滞在期限が迫っている問題で、宿泊業者の対応が分かれている。

 石川県加賀市の業者でつくる団体が4月以降の受け入れを決めた一方、別の市ではやむを得ず被災者に出てもらったホテルも。観光業者からは「今の支援内容では正直厳しい」との声が漏れる。

 県は2次避難者の滞在期限を2月末から3月末までとしており、2月上旬から各地で説明会を開催するなどしてきた。避難者へのアンケート結果では、半数が2次避難の継続を希望している。

 300人超の避難者を受け入れる加賀市の「みやびの宿 加賀百万石」は、4月以降も受け入れを継続する。吉田久彦社長は「被災者を守るのもわれわれの役目。とにかく今は耐えるしかない」と語る。一方、小松市のあるホテルのオーナーは避難者1人につき1泊1万円とする国などの支給額では経営が難しいとして、「2月いっぱいで出てもらうことをお願いした」と明かす。

 3月末に金沢市のホテルを出ることになっている珠洲市の尾蔵幸雄さん(61)は「仮設住宅ができるのは4月から5月。それまでどこに住めばいいのか」と不安を口にした。

 地震の影響は、被害が軽微だった県南部の観光業にも影を落としている。加賀市の山代温泉近くにある居酒屋のおかみ北川昭子さん(60)は「地震の被害はあまりないのに、客がめっきり減った」と嘆く。通常はにぎわうはずの2月下旬も、温泉街は閑散としたまま。地震発生後、売り上げは3分の1程度に下がったという。「今は給付金がないのでコロナ禍の時より経営が苦しい」と声を落とした。 

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