この制裁の中には、日朝間を往来していた万景峰号の入港禁止も含まれている。もちろん「被害者の即時一括帰国が実現するならば」の前提条件付きではあるが、圧力重視から対話路線に大きく舵を切ったといっていい。背景には被害者家族の高齢化がある。


 この日の会合にも出席していた横田めぐみ=失踪当時(13)=の母、早紀江は88歳、有本恵子=同(23)=の父、明弘は95歳に達している。首相の岸田文雄も施政方針演説でこう強調した。

「ひとときもゆるがせにできない人道問題であり、政権の最重要課題だ」

 確かに岸田は北朝鮮の最高指導者である朝鮮労働党総書記、金正恩との首脳会談に意欲を見せる。昨年5月27日、岸田は首脳会談実現に向け一歩踏み込んだ。

「私自身、直接向き合う覚悟でこの問題に臨む。私直轄のハイレベルで協議を行っていきたい」

https://diamond.jp/articles/-/339609