◆徴用工訴訟日本企業「実害」は岸田政権の大失態

さて、岸田文雄政権が「政治とカネ」の問題で混乱するなか、いわゆる「元徴用工」訴訟をめぐり、日立造船が韓国の裁判所に預けていた供託金6000万ウォン(約670万円)が原告側に渡った。日韓の請求権は、1965年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決」しているが、日本企業に初めて「実害」が出た。岸田政権の「外交大失態」といえる。

林芳正官房長官と上川陽子外相が「極めて遺憾だ」「強い遺憾の意」などと、いつもの「遺憾砲」を繰り返しているが、何の役にも立たない。原告側は「日本企業による事実上の賠償」などと勝ち誇っており、今後、他の日本企業に実害が発生する可能性がある。

韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は昨年3月、韓国最高裁が日本企業に命じた賠償支払いについて、「韓国政府傘下の財団が肩代わりする」と表明した。それを岸田政権は受け入れて日韓関係正常化にかじを切った。岸田政権は完全に舐められ、裏切られた。情けない。これを放置すれば、世界各国に「日本は泣き寝入りする国だ」と軽んじられる。

◆安倍政権が準備した「対抗措置」に踏み切れ

安倍晋三政権では、日本企業に実害が生じた場合に備えて、韓国への「対抗措置」として100前後の選択肢をリストアップしていたという。岸田政権は即刻、それらの対抗措置に踏み切るべきだ。日本の世界での位置付けが、岸田政権によって大いに毀損(きそん)されている。